こんにちは!透明水彩やデジタルでイラストを描いている鳥野ニーナ(@oekakitorino)です。
この記事はアメリカの画材メーカー「ダニエル・スミス」のドットカードを全色塗ってみた感想と特に気になった色のレビューになります。1記事でおさまらなかったので、後半は後日アップします。
※全色レビューはしていません。ご注意ください
・モニターの色と現物の色合いは若干異なる場合がございます。
・商品ラインナップは個人で調べたもので、差異がある場合がございます。あらかじめご了承ください
ドットカードは画像のように
少しずつ絵の具をしぼりだして乾燥させたものだよ!
メーカーごとに全色のドットカードが販売されています※
イッキにたくさんの色のお試しが出来るから、絵の具を買う前の
お試しに最適ですよ。
ドットカードを利用して、欲しい色を探そうねえ
ネットで買う場合はダニエルスミス正規取扱店「anaconda東京」社から購入するのが良いでしょう。他のショップで購入すると通常より値段が高い場合があります。
まとめ買いで送料無料にするのがお得でしょう。
ダニエルスミスの気になる色ピックアップ
ダニエルスミスのドットカード238色を塗っていくと分離色や粒状化する色の多さに驚かされます。
キラキラ成分の入った絵の具や、アメジストやソーダライトなど本物の鉱物を使った色が多いのも魅力ですよね。おススメの色をピックアップしてご紹介します。
ダニエルスミスには238色以上のラインナップがあり全部集めるのは大変です。
「好きな色」や「手持ちで足りない色」を選んで買い足していくのが良いと思われます。
ダニエルスミスの素敵な色を
さっそく見ていきましょう!
ダニエルスミスの色情報
耐光性 | ローマ数字でⅠ~Ⅳで示されます。Ⅰが最高Ⅳは褪せやすいです。※ |
紙への染みつきやすさ | アラビア数字で1~4で示されます。4が最も染みつきやすく1は染みつきにくいです。 |
粒状化 | YかNかで示され、Yが粒状化する色です。色によって程度が違います。 |
透明度 | 〇、半分塗られた〇、●の3段階で示されます。それぞれ透明、半透明、不透明の順です。 |
🅟マーク | 本物の鉱物が使われている絵の具のマークです。 |
※NR表記はダニエルスミス社独自のテスト結果になります
イエロー~オレンジ系
ダニエルスミス238色ドットカードの黄色系の色は20種以上あり、ぱっと見ただけでは見分けがつかない色もあります。
オレンジ系は6色ほどです。色選びのオススメは耐光性が最高レベルのⅠかⅡ、紙への染みつき度2以上で、欲を言えば透明度が最高の〇を選びたいところです。
ダニエルスミスのドットカードを塗っていて思った事ですが、紙への染みつき度が1だと【かなり薄づき】なものが多いです。
チューブ入りなら問題ないかもしれませんが、パンやパレットに出して乾燥させて使う場合、色がなかなか紙に出ないので、【薄づき】を狙う目的がない場合、染みつき度2以上の絵の具購入をおすすめします。
(しかし染みつきやすさが低いと、あとから色を抜きやすいというメリットがあります)
バフチタニウム
バフチタニウム (Buff Titanium) | |
---|---|
おすすめ度 | ★★★★★ |
耐光性 | Ⅰ 最高 |
染みつき度 | 1 染みつきにくい |
粒状化 | Y する |
透明度 | 半透明 |
🅟マーク | – |
顔料 | PW 6:1 |
紙への染みつき度は2以上をおススメしておきながら、真っ先にオススメする色【バフチタニウム】は染みつき度1ですが、1レベルの中でも色が定着する方なので薄すぎるという事はありません。
バフチタニウムは淡い黄色がかったホワイトの粒状化する色で、アンティークな印象を持っています。そのポテンシャルは非常に高く、絵全体のベースに使ったり、花びらを塗る際ピンクやオレンジと混色する事によって黄味がかったまろやかなニュアンスを与えたり、キャラクターの肌に使ったり…そのまま使って良し、混色しても良しの万能色です。
バフチタニウムだけで1本記事が書けるくらい素晴らしい色だと思います。
ダニエルスミスの他の色に比べて価格がお安めなのも
嬉しいポイントです。まずは5mlチューブで
お試ししてみましょう!
バフチタニウムのラインナップ | |
---|---|
ハーフパン | 〇 |
チューブ5ml | 〇 |
チューブ15ml | 〇 |
レッド~ピンク系
レッド、ピンク系でまず目を引くのはオペラピンクですが耐光性が低いです。次に鮮やかなのがキナクリドンコーラルですが、こちらはホルベインのキナクリドンスカーレットと色がよく似ています(ホルベインの方はほんの少し粒状化します)コスパを考えるならホルベイン。耐光性をとるならダニエルスミスを選びましょう。
そしてポッターズピンクは例のごとく激しく粒状化します🔥
耐光性も最高レベルなので、熱烈なポタピ※ファンは購入しましょう。
※筆者がてきとうに造ったポッターズピンクの略語
マヤレッド
マヤ レッド(Mayan Red) | |
---|---|
おすすめ度 | ★★★ |
耐光性 | Ⅱ すごく良い |
染みつき度 | 2 やや染みつきやすい |
粒状化 | Y ややする |
透明度 | 〇 透明 |
🅟マーク | – |
顔料 | PR 287 |
マヤレッドはピンク寄りの美しいレッドで、粒状化します。
しかし粒状化はあまり激しくなく、ほんのり粒々してるくらいなので赤系の激しい粒状化色が欲しいという目的で購入するのはおすすめしません。
しかし薄く塗れば優しいピンクに、濃く塗ればクリアな赤になり、粒状化によりほどよい質感を与えてくれるマヤレッドは魅力的な色です。
マヤレッドのラインナップ | |
---|---|
ハーフパン | – |
チューブ5ml | – |
チューブ15ml | 〇 |
パープル系
筆者がパープル系好きな上にダニエルスミスのパープルはほぼ粒状化、分離色となっており魅力的で個性的な色が盛りだくさんで紹介数も多めです。粒状化の程度もかなり激しめなので自作分離色を作りたい場合に大いに活躍してくれる色がそろっています。
ダニエルスミスで人気の分離色ムーングロウやシャドウバイオレットといった色も紹介していきます。
ローズオブウルトラマリン
ローズオブウルトラマリン(Rose of Ultramarine) | |
---|---|
おすすめ度 | ★★★★ |
耐光性 | Ⅰ 最高 |
染みつき度 | 3 染みつきやすい |
粒状化 | Y する |
透明度 | 〇 透明 |
🅟マーク | – |
顔料 | PB 29、PV 19 |
ローズオブウルトラマリンはキナクリドンローズとウルトラマリンブルーのミックス色で、ワインレッドから浮かび上がる鮮やかなピンクと粒々のパープルが魅力的な分離色です。
中目以上の紙で描くと、鮮やかなピンクがより強く分離します。
ちなみに自分でキナクリドンローズとウルトラマリンブルーをミックスしてみたのですが
ローズオブウルトラマリンのような絶妙な色合いにはなりませんでした。
ダニエルスミス秘伝のミックスレシピがあるのでしょう…!
ローズオブウルトラマリンが気に入ったなら
おとなしく購入したほうが良さそうです。
価格もお安めで、ラインナップも豊富ですよ✨
ローズオブウルトラマリンのラインナップ | |
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ハーフパン | 〇 |
チューブ5ml | 〇 |
チューブ15ml | 〇 |
インペリアルパープル
インペリアルパープル(Imperial Purple) | |
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おすすめ度 | ★★★★ |
耐光性 | Ⅰ 最高 |
染みつき度 | 2 やや染みつきやすい |
粒状化 | Y する |
透明度 | 半透明 |
🅟マーク | なし |
顔料 | PV 19、PB29 |
ダニエルスミスのインペリアルパープルは暗いパープルからミルキーピンクと粒状化した群青色がにじみだす風格のある分離色です。
薄く塗れば淡いパープルに粒々の質感が入って画面にかわいいニュアンスが作れて
濃く塗れば表情豊かで存在感のある画面をこれ1色で作り出すことが出来ます。
かっこよくも、かわいくもなる
パープルの分離色
耐光性も最高レベルなので作品に
積極的に取り入れたい色です
インペリアルパープルのラインナップ | |
---|---|
ハーフパン | – |
チューブ5ml | 〇 |
チューブ15ml | 〇 |
アメジストジェニュイン
アメジストジェニュイン(Amethyst Genuine) | |
---|---|
おすすめ度 | ★★★★ |
耐光性 | Ⅰ 最高 |
染みつき度 | 2 やや染みつきやすい |
粒状化 | Y する |
透明度 | 半透明 |
🅟マーク | 🅟 鉱物色 |
顔料 | N/A(該当なし) |
アメジストジェニュインは本物のアメジストが入った鉱物色です。
ダニエルスミスでは鉱物が入ったカラーの語尾に「本物」という意味の「Genuine」の名が付いています。
アメジストジェニュインは画像の通り、ダークパープルから鮮やかなパープルと粒々のダークグレーが顔を覗かせる分離色です。
キラキラの成分も添加されているので見る角度を変えると上品にきらめきます。
この1色で絵にシックで上品な雰囲気を出せるのでオススメの1色です。
本物のアメジスト入りなので
お値段は少し高めです。
まずは5mlからお試し購入するのをおススメします。
アメジストジェニュインのラインナップ | |
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ハーフパン | – |
チューブ5ml | 〇 |
チューブ15ml | 〇 |
コバルトブルーバイオレット
コバルトブルーバイオレット(Cobalt Blue Violet) | |
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おすすめ度 | ★★★★ |
耐光性 | Ⅰ 最高 |
染みつき度 | 2 やや染みつきやすい |
粒状化 | Y する |
透明度 | 半透明 |
🅟マーク | – |
顔料 | PB28、PV19 |
コバルトブルーバイオレットはブルー寄りのパープルから薄いピンクが顔を出す幻想的な分離色です。粒々したパープルの粒子が絵に豊かな質感を与えます。
ダニエルスミスによるオススメ混色はコバルトブルーバイオレットとプルシャングリーン!実際に試すと柔らかでシックな青を作る事が出来ました(下図)
1色でも表情豊かな色をさらに混色して自分だけのお気に入りの色を見つけたいですね。
アメジストジェニュインのラインナップ | |
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ハーフパン | – |
チューブ5ml | – |
チューブ15ml | 〇 |
ムーングロウ
ムーングロウ(Moon glow) | |
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おすすめ度 | ★★★★★ 超おすすめ |
耐光性 | Ⅰ(NR) ダニエルスミス独自規格で最高 |
染みつき度 | 2 やや染みつきやすい |
粒状化 | Y する |
透明度 | 〇透明 |
🅟マーク | – |
顔料 | PG 18、PB 29、PR 177 |
ムーングロウはダニエルスミスの人気分離色です。これ一色で背景を塗っても良いし、黒いパーツに塗っても良さそうですね。
彩度の低いバイオレットから暗いグリーンと薄いピンクがにじみ出ます。ダニエルスミスは個性的な分離色も魅力の1つですが
このムーングロウはダニエルスミス唯一無二の色と言え、特におすすめの1色です。
ムーングロウのラインナップ | |
---|---|
ハーフパン | – |
チューブ5ml | 〇 |
チューブ15ml | 〇 |
シャドウ バイオレット
シャドウバイオレット(Shadow Violet) | |
---|---|
おすすめ度 | ★★★★★ 超おすすめ |
耐光性 | Ⅰ(NR) ダニエルスミス独自規格で最高 |
染みつき度 | 1 染みつきにくい |
粒状化 | Y する |
透明度 | 〇透明 |
🅟マーク | – |
顔料 | PO 73、PB 29、PG 18 |
シャドウバイオレットはムーングロウと並んでダニエルスミスの分離色の中で最も人気な色の一つです。薄く水に浮かべると、柔らかいベージュがかったグレーから薄いピンクとウルトラマリン由来のブルーが顔を覗かせる不思議な色です。
このように個性的な色でありながら全体的に優しい印象を与えるシャドウバイオレットは、ダニエルスミスだけの特別なカラー。影色や、背景に使うと複雑なニュアンスをこの1色だけで表現する事が出来ます。
ムーングロウと同じく是非手元に1本持っておきたいカラーです。
シャドウバイオレットのラインナップ | |
---|---|
ハーフパン | 〇 |
チューブ5ml | – |
チューブ15ml | 〇 |
ブルー系
ダニエルスミスの238色ドットカードのブルーはキラキラカラーを含めて20色以上あります。
ダークブルーからまばゆい鮮やかなブルーまでそろっていて、そのほとんどが粒状化(G色)します。ウルトラマリンブルー系、セルリアンブルーはもちろんの事、ダークなブルーやラベンダー、コバルトターコイズ系の鮮やかな色も粒状化するので、G色が好きな方にとってはどれを選んだら良いのか迷ってしまう事になります。
選ぶ色に迷った時は、より鮮やかで耐光性の高いものを
選ぶのが良いと思います。
暗い色は混色で似せて作れますが、混色する色以上に
鮮やかな色は作れないからです。
ソーダライトジェニュイン
ソーダライトジェニュイン (Sodalite Genuine) | |
---|---|
おすすめ度 | ★★★ |
耐光性 | Ⅰ |
染みつき度 | 2 やや染みつきやすい |
粒状化 | Y する |
透明度 | 半透明 |
🅟マーク | 🅟鉱物色 |
顔料 | N/A(該当なし) |
ソーダライトジェニュインは本物のソーダライトを使用した粒状化する鉱物色です。
使用する紙によって粒状化の度合いは変わりますが、安定的に大きめのザラザラ感を得たいときは上の画像のウォーターフォードやホワイトワトソンがおすすめです。
こちらはアルビレオでソーダライトを塗ってみた例です。ハーネミューレ社のエキストラホワイトもやや似た分離の仕方をします。ぜひ好みの水彩紙を見つけてみて下さい
ソーダライトジェニュインのラインナップ | |
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ハーフパン | 〇 |
チューブ5ml | 〇 |
チューブ15ml | 〇 |
紹介数が多すぎてページが重くなってきてしまったので
残りの色紹介は後編にわけます!
かなり厳選しているのですが
238色もあるのでオススメ色が多すぎます!
ダニエルスミスのドットカード238色を塗ってみた感想
238色のドットカードを塗りながら5cm四方の「色見本カード」を作成しました。
ファイリングして眺めてニヤニヤして満足感を得るためだけではなく
他のメーカーの色と比較する際や、実際に絵を描く時に色を確認でき便利だからです。
ドットカードは塗ってみないとどんな色か
分からないからねえ💦
ダニエルスミスのドットカードは238色あるので1日10色ずつ塗っても24日間かかり
ゆっくりと5色ずつ塗っていくと完成までなんと48日間もかかってしまいます。
毎日コツコツ出来る方なら良いのですが私は気分にムラがあるので無理です。
ならばと1日20色ずつ塗っていきました。それでも12日かかります
おそるべしダニエル・スミス
- 238色もあるなんて最高!と思えたのは初日のみ
- 塗っても塗っても終わりが見えない238色の壁
- とはいえ鉱物色や粒状化色、大胆な分離色に驚かされる
- モチベーションアップのためにリフィルにファイリングして眺めてニヤニヤする
- ひたすら塗る、塗る、塗る、塗る
- 塗り終えた後の達成感は、238色塗り切った者しか味わえない
- 忍耐力と集中力が付く。ダニエルスミス最高!!!!!!
しかしやり遂げたあとの達成感は半端ないです。
ファイリングにはHOBBY BASE社のカードアクセサリコレクション20ポケットリフィールがサイズは大きいですが安価でおすすめです。
20ポケット裏表×12で480色もコレクションする事が出来ますよ。
5.5cm四方の20ポケットなので5cm四方の色見本カードを入れることが出来ます。ただ、前述のとおり リフィルのサイズが大きく
市販のバインダーでぴったり合うサイズを見つけるのが難しいかも知れません。
ホビーベース専用のバインダーを購入する事になりそうなので、そこが少しネックです(カラーバリエーションも白、黒、青のみ)
そして、ファイルしたカードが飛び出しやすいので、透明のマスキングテープで入り口を固定するのがベターです。
ネットショップでチョコシール用
コレクションホルダーは色々売ってあるので
自分に合ったリフィルとバインダーを探してみて下さい
以上、ダニエルスミスのドットカード238色を塗ってみたレビューでした。
238色もの色を塗ってカット、ファイリング作業したのでほかのメーカーの色見本カードを作るハードルが下がったような気がします。
目指せ、全メーカーの色見本作成!というわけで次はどのメーカーを選ぼうか今から楽しみです
以下は透明水彩のドットカードを販売しているメーカー例です
- ダニエルスミス 238色 ほか3種
- ウインザー&ニュートン 109色
- シュミンケホラダム 140色
- ミジェロ 126色
- ターナー 54色
すべてのメーカーのすべての色見本を
作る事はひとつの夢ですよね✨
この記事は鳥野(@oekakitorino)が書きました。
みなさんもダニエルスミスの色見本を作ってみませんか。次はどの色をお迎えしようかファイルを眺めてるだけで幸せな気持ちになれますよ✨
というわけで1記事に収まり切れなかったので次の記事に続きます。
※ダニエルスミスの238色のドットカードは税込3300円前後が適正価格ですので、それ以上高い値段で販売しているショップはかならず避けるようにして下さい。